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Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「レオ・レオニ 絵本のしごと」展へ行ってきました。

レオ・レオニは、アメリカで活躍した絵本作家です。
グラフィックデザイナーとして活動した後、孫のために作った「あおくんときいろちゃん」で絵本作家としてのキャリアをスタートさせ、生涯で40冊ほどの絵本を作ったそうです。
あおくんときいろちゃん (至光社国際版絵本)あおくんときいろちゃん (至光社国際版絵本)
(1984/01)
レオ・レオーニ

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「あおくんときいろちゃん」は、コラージュをつかった抽象的な表現が驚きをもって迎えられたそうですが、今見ると抽象的というよりもむしろ素朴な表現を用いた作品と感じられる位です。
これは、彼が用いた抽象表現が、その後絵本作品の表現としていかに定着しているかという現れなのかもしれません。
残念ながら、今回の展覧会には、この作品は出品されていませんが、レオ・レオニの作品を語る上で、この作品は欠かせないと個人的には思っています。

あれ?早速話が展覧会から脱線してしまいました(^^;
この人の作品には、個人的にいろいろ思い入れがありすぎて、これから先も、かなり話が横にそれてしてしまいそうな予感がするのですが、とにかくできるかぎり、展覧会の感想に絞って話を進めて行きたいと思います。

今回の展覧会では、彼の絵本原画や資料約100点と絵本以外の彫刻や仮面の板絵などが展示してありました。

メインはもちろん絵本原画なんですが、個人的には、会場ではコラム的に取り上げられていた、空想上の植物をモチーフにして作られた「平行植物」シリーズに属する版画や彫刻のシュルレアリスム的な表現が一番印象に残っています。
なんというか、彼特有の無機質な空気が極限まで高められた作品群で、その独特な世界観がすばらしかったです。
実は本もでているようです。これは早々に買うつもりです。

平行植物 新装版平行植物 新装版
(2011/01/31)
レオ・レオーニ

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この世界観が絵本になったかのような印象をうけるのが「はまべにはいしがいっぱい」

はまべにはいしがいっぱい (レオ=レオニの絵本)はまべにはいしがいっぱい (レオ=レオニの絵本)
(2012/04/06)
レオ=レオニ

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モノトーンで描かれた石の細密表現が素晴らしい作品です。

この流れで描かれたとおもわれるタブロー「アスファルトのチュウイングガム」は特にすばらしかったです。
個人的には、今回会場に展示してあった作品の中では、これが一番ツボに入りました。

近年のグッズ攻勢で、『レオ・レオニ=ねずみちゃん』 と思っているような人には、ぜひ、これらのハードな作品を見てもらって、彼の凄さがどこにあるかを感じてもらいたいものです。

で、メインの絵本原画ですが、こちらはこちらで見応え満点でした。
なによりも思っていた以上に、作品ごとに様々な技法を用いて描いている事に驚きました。
もっとも多く使われていたのはコラージュでしたが、色鉛筆画や油彩画、テンペラで描かれた作品もありました。

私がレオ・レオニの作品に最初に触れたのは、子供の頃なので、これまで技術的なところや、絵の様式などには全く興味ももたず、ひたすら作品世界を味わっていました。
原画をみて、こんな風にこの絵は描かれていたんだ!と初めて客観的に、彼の作品を見直すことがができたような気がします。

初期の作品である「フレデリック」や「ひとあし ひとあし」などのコラージュで作られた作品は、台紙が変色し、一部貼付けていたパーツがとれているところも見られましたが、それでもなお、作品が精密に作り込まれている事がダイレクトに伝わってきました。

フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなしフレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし
(1969/04/01)
レオ・レオニ

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ひとあしひとあし―なんでもはかれるしゃくとりむしのはなしひとあしひとあし―なんでもはかれるしゃくとりむしのはなし
(1975/04/01)
レオ・レオニ

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また弟が大好きだった「アレクサンダとぜんまいねずみ」のコラージュに、和紙や千代紙の桜が使われていたのも驚きでした。
子供のころには、そんな細部なんてどうでもいいくらい話にのめり込んでいたってことなんでしょうね。
タブローとして額に掛けられている作品が、本とは違ってひどく他人行儀に感じられました。

アレクサンダとぜんまいねずみ―ともだちをみつけたねずみのはなしアレクサンダとぜんまいねずみ―ともだちをみつけたねずみのはなし
(1975/04/01)
レオ・レオニ

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...と、まあ、こんな感じで、展示してあった作品一つ一つについて、いくらでも感想がかきたくなる位、懐かしい作品の原画が目白押しの展覧会でした。

もう、この際だから思い切って、自分語りをしてしまいますが、彼の作品は、今は亡き弟が、子供の頃大好きだったんです。
弟が熱中するのにつられるようにして、私もその世界にはまって、二人で読んでいた作品ばかりなので、どの作品を見ても弟との思い出が蘇ってきてしまいます。
この展覧会は、本来、弟が見るべきものだった気がして、私が一人で見ているのが申し訳ない気分になりました。
本当に、これを見たら弟はさぞ喜んだだろうなぁと思うと、作品を正視することができませんでした。
せめて、弟の子供に見てほしいけれど、残念ながら、そんなこともできそうもないのが辛いところです。
いろいろ思う事がありすぎて、見ていて切ない展覧会でした。

実は今まで、弟の事を思い出すのが辛くて、レオ・レオニ作品をほとんど買わないままでいたのですが、娘もそろそろ私たちが彼の作品を熱中して読んでいたのと同じ年齢になろうとしています。
そろそろ我が家にも「アレクサンダとぜんまいねずみ」くらいは、買おうかな、とようやく思う事ができました。

絵本を見て、娘が興味を示すようなら、娘と一緒にこの展示を見に行くかもしれません。
ただ、展示自体は、目線の高さも大人仕様で高めに設定してあるし、あまり子供向けとは言えないので、無理強いはしないようにしておこうと思っています。

個人的な思い入れがありすぎて、客観的な感想が全く書けなかったのですが、レオ・レオニの回顧展としては、かなり質の高い内容だったのは間違いありません。
彼の絵本を読んで育った人ならば、確実に楽しめる展示だと思います。
オススメです。
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うらわ美術館で9月2日まで開催していた「ブラティスラヴァ世界絵本原画展 ―広がる絵本のかたち」展へ行ってきました。

スロヴァキア共和国の首都ブラティスラヴァで2年ごとに開催される「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」は 、歴史のある世界最大規模の絵本原画コンクールとして知られています。
実際に出版された絵本の原画を審査の対象にするため、各国の特色が際立つのが特徴です。

2000年代に入ってからは、コンテストの受賞作の原画を紹介する展覧会が開催され、このコンクールのグランプリ作品とこの展覧会に出品した日本人作家の作品プラス絵本に関する特別展示という形で、日本各地に巡回しています。
うらわ美術館もその巡回先の一つで、私もできるだけ足を運ぶようにしています。

今回の展覧会は、賞をとった作品群も見ごたえがありましたが、なんといっても見どころは、特別展示の日本のしかけ絵本のコーナーでした。
なんと、江戸末期から明治初期につくられた和本のしかけ絵本からはじまり、大正・昭和時代につくられたものまでとりそろえて仕掛け絵本の受容史を紹介いました。
和本の時代の仕掛け本など、これまで、見たことはもちろん、存在すら知らなかったのでびっくりしました。

とくに郷愁をそそられたのは、昭和40年から50年代頃に出版されたしかけ絵本のコーナー。
ここでは、仮面ライダーの仕掛け絵本や、アポロ宇宙船が月に行った頃につくられたアポロ宇宙船が月に行った時の本や、むかしのムーミンのとびたす絵本が展示されていました。
このコーナーでは、すべてのページを見ることが出来ないことに配慮して、動画で全頁を紹介してくれていたのも楽しかったです。

最近のものだとスズキコージさんや宇野亜喜良さんの「りゅうのおくりもの―江ノ島妖怪伝 」など妖怪をテーマにしたポップアップブックシリーズが目を引きました。
このシリーズ欲しい!と思ってあとで調べてみたのですが、絶版にちかい状態のようです。
本当に、絵本の寿命って短い。。。切ない話です。
そしてなんといっても、駒形克己さんの3D絵本の洗練されたセンスが光っていたと思います。
こちらも紹介しようと思ったら、アマゾンの流通経路には乗っていない本が多いらしく、ほとんど検索できませんでした。
今回の展示には使用されていませんでしたが、参考までに駒形さんの作品をご紹介します。

What color?(このいろなあに)―Learning for children (Little eyes (6))What color?(このいろなあに)―Learning for children (Little eyes (6))
(1991/04)
駒形 克己

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1 to 10(いち・に・さん…)―Learning for children (Little eyes (5))1 to 10(いち・に・さん…)―Learning for children (Little eyes (5))
(1991/04)
駒形 克己

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しかけ絵本というとなんとなく、海外の作家さんが手がけたものという印象が強かったのですが、日本に限定しても、これだけの質量が流通しており、しかも通史的に移り変わりをみせてくれる贅沢さに驚きました。
このコーナーだけでも一つの展覧会ができるのに!と思ったくらいです。
自分の手で触れる本が用意してあるもの嬉しい配慮でした。

あわせて、最先端の3D絵本という位置づけなのか、ipad用につくられた電子絵本を体験するコーナーも作られていました。
今回のグランプリ作品チョ・ウンヨンさんの『はしれ、トト!』の電子版もこのコーナーでみることができたのですが、中途半端に音や動きが盛り込まれていて、却ってそれが煩わしく感じました。
このあたりは、絵本になにを求めるかにもよるのでしょうが、紙媒体と、動くことを意識した電子絵本書籍は、別物と考えたほうがいいように感じました。
むしろ、絵を動かすとか凝ったことはせず、単純なデータ移植をしたほうが、絵本としての興がそがれないかもしれないと思ったくらいです。

今後、電子媒体が発達してゆくのは間違いないと思うので、絵本もこの流れに乗ることが求められるのは、必須でしょう。
私も、絵本は紙でなくては!などと保守的なことは言わず、電子版の方が楽しいものが出たならば、楽しめるようでありたいとは思っているのですが、この展覧会で紹介されていたアプリをみる限りでは、紙と電子版という媒体の隔たりの大きさを感じずにはいられませんでした。
過渡的な段階で断定するのは早計かもしれませんが、絵本と電子書籍って、案外、テレビゲームとアナログボードゲームのように、それぞれ独自の発展を遂げてゆくことになるんじゃないか、という気がしました。

今回の展覧会、特集コーナーがあまりにも充実しすぎていて、ブラティスラヴァ世界絵本コンクールの作品のことを忘れそうなくらいでしたが、それなりに面白い作品も登場していました。
個人的には、モンドリアンの作品をモチーフにした
Coppernickel Goes Mondrian (Coopernickel ; Artist Bribute Series 1st)という作品が、おもしろかったです。

Coppernickel Goes Mondrian (Coopernickel ; Artist Bribute Series 1st)Coppernickel Goes Mondrian (Coopernickel ; Artist Bribute Series 1st)
(2012/05/08)
Wouter Van Reek

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これ、早く日本版が出てくれないかなぁ。
子供向けのアート絵本にありがちな教育色を感じることなく、モンドリアンの配色の面白さを体感できる良書だと思いました。
あとは、ペテル・ウフナールさんの『ピーターパン』も、東欧的な配色がすばらしかったです。

うらわ美術館ではすでに終わってしまっていますが、9月8日から千葉市美術館に巡回しています。
こちらのHPには画像も豊富に掲載されていますので、そちらも是非ご覧ください。
教文館ナルニア国で開催していた「フェリクス・ホフマン絵本原画展―父から子への贈り物」展へ行ってきました。

実は、「おおかみと七ひきのこやぎ」」など、ホフマンの絵本は図書館で目にしたことはあったのですが、これまで読んだ記憶がなく、あまりなじみのある人ではありませんでした。

おおかみと七ひきのこやぎ―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)おおかみと七ひきのこやぎ―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)
(1967/04/01)
グリム

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多分、なにもなければそのままスル―していたと思います。
ところが、ツイッターでこの展覧会の評判が非常に良いよかったので、急きょ行ってみることにしました。
行って本当に良かったです!ホフマン展、予想以上に素晴らしい内容でした。

ホフマンの絵本は、自分の子供に向けて描いた手書き絵本がベースになっているそうで、今回は子どものために描いた手書き絵本も合わせて展示してありました。
手書き絵本と、出版用の絵本原画を、対比して見比べることができるのが、今回の展示の質を非常に高いものにしていた気がします。

彼の絵は決して子供に媚びておらず、むしろ子供を、自分と対等な存在と思って描いている気がしました。
美しいものを美しいと感じる感性は対等である、子どもたちにそう感じてもらえないような作品を作るわけにはいかない、と思って描いたかのような厳格さを感しました。
ホフマンの絵は、読み手である子供への慈愛と子供の能力へ信頼に彩られています。
だから子供への媚びがありません。と、同時に、場面の選び方など随所にテクストへの敬意を感じました。
絵本の挿絵はテクストを盛り上げる存在であることを痛感させられる作品群でした。

特に、「ねむりひめ」を見ていると、つい先日三菱一号館美術館でみたバーン=ジョーンズ展に出品されていた眠り姫を思い出さずにはいられませんでした。

ねむりひめ―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)ねむりひめ―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)
(1963/10/01)
グリム

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バーン=ジョーンズの眠り姫は、眠りにおちた姫の周りを取り囲むように眠る、従者の女性の無防備なエロスが、強く印象に残る作品でした。
それはそれで素晴らしい世界だったのですが、ホフマンの作品と比較すると、ジョーンズにとって、眠り姫は、自分のフェティシズムをふんだんに盛り込んで構築したジョーンズが作り上げた物語の舞台装置だったように感じました。

一方、ホフマンの描く眠る従者は、階段わきで安らかに眠り、階段を登りきった先に眠る姫のもとへ、王子を誘う役割りを忠実に果たしています。
この辺りの構図は、文字の配置も含め、とても考え抜かれているのが素晴らしいと思いました。絵で物語をクライマックスへと導く演出効果に目を奪われる場面です。

このあたりは、絵のみで語るタブローと、文字と連携して初めて魅力を発揮する挿絵との差かもしれません。
バーン=ジョーンズの作品を見ていた時には、随分、挿絵的な絵だなぁと思ったのですが、この展覧会をみたことで、やはり、タブローと挿絵は随分違うものなんだということを、体感することが出来ました。

で、この眠り姫の中で、ホフマンが唯一、ストーリーにオリジナリティを盛り込んだのが、「父性愛」だった気がします。
表紙に描かれた幼い姫を、後ろから支える王様が象徴するのは、親の愛情です。
これは本来の眠り姫では、あまり強調されない部分ではないかと思います。
この挿絵、子供と一緒にこの本を読む親にとっては、思わず王様に感情移入したくなってしまう素晴らしい場面となっています。
このあたりに、「ねむり姫」がロングセラーとなっている秘密があるように感じました。

とにかくホフマンの作品は、どれも揺るぎない父性愛に満ちています。
親と子が、安心して楽しめる楽園のような作品を創り上げた、彼の創造力に感動せずにはいられませんでした。

この展覧会では、代表作である「おおかみと七ひきのこやぎ」や「七わのからす」、「ながいかみのラプンツェル」など多数の作品の原画がみられます。
特に、「しあわせハンス」の蛇腹折りを想定してかかれた原画は目をひきました。

しあわせハンス―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)しあわせハンス―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)
(1976/10/20)
グリム

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なんでもこの作品、出版時に経費の都合で、当初想定していた蛇腹折りの形では出版できず、通常の本の形で出版されたそうです。
最後の場面で、お母さんに抱きつくハンスの可愛らしいことと言ったら!!
ところが、この素敵な場面、なぜか本になった時にはカットされてしまったようです。
なぜそうなってしまったのか、理由が気になるところです。本当に意図がわかりません。

また、ホフマンは、ステンドグラスなども手掛けていたそうで、ステンドグラスの写真パネルなども展示してありました。
このステンドグラスが、とてもモダンなデザインで、いつか本物を見たいなぁと思わずにはいられないような作品でした。

とにかくこの展覧会、なんといっても、展示してある作品の大半が、子どものために描いた手書き絵本とともに展示してあるのが素晴らしかったです。
お父さんにこんな素敵な絵本をプレゼントされる子どもって本当に幸せですよね^^
手書き絵本は、子どもが病気になった時、お見舞いとしてプレゼントされたのがはじまりだったようで、丈夫だった長女は、最後までプレゼントされなくてやきもきした、というエピソードも微笑ましかったです。

会場はかなり狭く、残念ながら、絵を展示する環境としては、あまり良好とはいえない場所でした。
もっとちゃんとした箱で展示するに値する内容の資料が目白押しだっただけに、少々勿体ない気がしました。

ただ、子どもが作品をみることを意識してなのか、通常の美術館よりもかなり低い位置に目線を設定して、絵を展示したり、子どもが楽しめるように手作りの子ヤギの家のコーナーを設けているあたりに、児童書を専門とする書店ならではの配慮が随所に見受けられるのには、好感が持てました。

会場は手狭だったものの、作品に対する愛が随所に感じられる展覧会で、それがホフマンの作品から伝わる愛とともに、来館者を癒してくれていた気がします。
本当にいい展覧会でした。
会期はすでに終わっていますが、あともう一回くらい行きたかったです。残念。

最後に今回展示してあった作品や、彼について書かれた本を紹介しておきます。
ぜひ、ご覧ください。

七わのからす七わのからす
(1971/04/20)
グリム

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ながいかみのラプンツェルながいかみのラプンツェル
(1970/04/30)
グリム

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赤ずきん (福音館の単行本)赤ずきん (福音館の単行本)
(2012/06/13)
フェリクス・ホフマン

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フェリックス・ホフマンの世界―父から子への贈りものフェリックス・ホフマンの世界―父から子への贈りもの
(1998/05)
フェリックス・ホフマン

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東急Bunkamuraザ・ミュージアムで開催していた「スイスの絵本画家 クライドルフの世界」展をちょっとだけ見てきました。

クライドルフさんの本は、これまで全く読んだことがなかったのですが、絵本の草創期に活躍した絵本作家の一人なんだそうです。
花や植物を細密なタッチで擬人化して描いているのが印象的でした。
絵本の草創期に生まれたその作品群は、大人が安心して子供に与えるために描かれたんだなぁという印象。
本に登場する花や虫は細部にわたる観察にも基づいて描かれており、細部を極めたうえで、擬人化されていました。
このような花や虫の擬人化という手法が、子どもの本に取り入れられたのがいつからなのかは、わかりませんが、当時の子どもはさぞ喜んだんだろうなぁと思わずにはいられませんでした。
日本の鳥獣戯画もそうですが、一昔前の動物の擬人化って、ものの本来の姿をより正確に理解したうえでなされているから、より物語性に富んでいる気がします。
今の私たちは、擬人化という技法に、慣れ親しみすぎているだけに、本来のものの姿に鈍感になっているかもしれないな、と考え込まされました。

彼の作品は、小人や妖精など、伝承に基づいた描写が、多いのも一つの特徴のように思いました。
特に、しらゆきひめが登場する「ふゆのはなし」は、ちょっとマダムなしらゆきひめが、小人と一緒に遊ぶ姿の妙が面白い、独特な作品でした。

ふゆのはなし (世界傑作絵本シリーズ・スイスの絵本)ふゆのはなし (世界傑作絵本シリーズ・スイスの絵本)
(1971/03/30)
エルンスト・クライドルフ

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残念ながら、彼の物語は、本来の母国語に準拠して作られていたり、詩を多用しているものが多いようで、日本人の私たちにはちょっとなじみにくい部分がある気がしました。
そういう意味で、絶版になっている作品が多いのも、なんとなく納得という気がしました。

子どもが反応するとしたら、小学生4,5年からくらいからでしょうか。
むしろ、今となっては、大人がときめく要素が高い作品かもしれません。

個人的には文化村のHPでもつかわれていた自画像がツボでした。
展覧会紹介ページには、その肖像画を用いた動画がありました。
まだHP上には残っているようなので、まだご覧になっていない方は是非!

この展覧会、文化村ではすでに終わっていますが、現在、全国を巡回中のようです。
2012年8月4日(土)~2012年9月17日(月・祝) 郡山市立美術館
2012年11月10日(土)~12月27日(木) 富山県立近代美術館
2013年1月30日(水)~2013年2月24日(日) そごう美術館(横浜)
(この情報はインターネットミュージアムさんから引用させていただきました。)


バッタさんのきせつバッタさんのきせつ
(2012/05)
エルンスト クライドルフ

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くさはらのこびと (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)くさはらのこびと (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)
(1970/09/05)
エルンスト・クライドルフ

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八王子夢美術館で開催していたたむらしげるさんの個展に行ってきました。
八王子夢美術館に行くのは、今回が初めて!
遠いし、なかなか大変そうなので、行くかどうしようかかなり迷ったのですが、たむらさんのギャラリートークが開催されると知り、思い切って参加してみました。
はじめてお目にかかるたむらさんは、とてもダンディでやさしそうな方でした。
ギャラリートークの参加者の数が、本人が予想していたよりも、はるかに多かったようで、少々とまどっていらっしゃるようでしたが、どのような技法を用いて作品を作っていらっしゃるかを、実際の作品を前にして、淡々と語ってくださいました。
お話を聞くまでは、CGやマックを先駆的に使っていらっしゃる方、というくらいしか、たむらさんの技法に関するイメージはなかったのですが、予想以上に、さまざまな技法に挑戦していらっしゃいました。
CGだけでなく、初期にはリトグラフやプリントゴッコなども用いていらっしゃるし、CGと言っても、いちどCGで描いた作品を切り取って立体オブジェをつくり、それを撮影して平面にするなど、さまざまな形でCGを駆使して、作品を作り上げているそうです。
そんなお話をするたむらさんは、実験好きで好奇心旺盛な「ロボットのくにSOS 」に登場するルネ君やフープ博士のようでした。

ロボットのくにSOS (こどものとも傑作集)ロボットのくにSOS (こどものとも傑作集)
(1996/09/10)
たむら しげる

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とくに、絵本をきれいな色で印刷するためのこだわりには、脱帽してしまいました。
印刷と一言でいっても、本当に奥深い世界のようです。
絵本をつくるにあたり、ご自身で分版された色版と、原画、印刷物を、一緒に展示しているコーナーは、たむらさんのこだわりだけでなく、印刷のしくみなどもわかり、面白かったです。
ここでは、娘も大好きな「ありとすいか 」の原画を見ることができたのが嬉しかったです
ありとすいか (名作絵本復刊シリーズ)ありとすいか (名作絵本復刊シリーズ)
(2002/03)
たむら しげる

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会場内に展示されていた作品のうち、特に印象に残っているいるのが「メタフィジカルナイツ」という作品でした。
これはCGを市販のプリンターでモノクロ印刷した作品なのですが、黒の階調を細かく指定して印刷したところ、当時のプリンターの性能では階調を処理しきれなかったらしく、黒のグラデーションに虹のような七色の波形が出てしまったのだそうです。そのかすかな七色の幻想的で美しいことといったら!
たむらさんが作品にそえたコメントには、この色は『創造の女神からの贈り物』だと思った。と書いてありました。
今の性能のプリンターで印刷したら決して出ないその色は、まさに幻のように揺らめいていました。

また、昔大切に持っていたポストカードがプリントゴッコでつくられたものであったことが判明したりと、個人的にいろいろ懐かしい作品をみることができたのが、嬉しかったです。

最後に、ミュージアムショップで娘へのお土産に「ランスロットのはちみつケーキ (ロボットのランスロット)」を買って会場を後にしました。
この作品、娘に大好評でしばらく毎晩のように読んでいました。

ランスロットのはちみつケーキ (ロボットのランスロット)ランスロットのはちみつケーキ (ロボットのランスロット)
(2005/10)
たむら しげる

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たむらさんの作品は、娘と相性がいいようで、いままで買った作品のほとんどがヘビロテ本となっています。
秋には、こどものとも0123で、また新作が発表されるようなので、今から楽しみです^^
  
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