東急Bunkamuraザ・ミュージアムで開催していた「スイスの絵本画家 クライドルフの世界」展をちょっとだけ見てきました。

クライドルフさんの本は、これまで全く読んだことがなかったのですが、絵本の草創期に活躍した絵本作家の一人なんだそうです。
花や植物を細密なタッチで擬人化して描いているのが印象的でした。
絵本の草創期に生まれたその作品群は、大人が安心して子供に与えるために描かれたんだなぁという印象。
本に登場する花や虫は細部にわたる観察にも基づいて描かれており、細部を極めたうえで、擬人化されていました。
このような花や虫の擬人化という手法が、子どもの本に取り入れられたのがいつからなのかは、わかりませんが、当時の子どもはさぞ喜んだんだろうなぁと思わずにはいられませんでした。
日本の鳥獣戯画もそうですが、一昔前の動物の擬人化って、ものの本来の姿をより正確に理解したうえでなされているから、より物語性に富んでいる気がします。
今の私たちは、擬人化という技法に、慣れ親しみすぎているだけに、本来のものの姿に鈍感になっているかもしれないな、と考え込まされました。

彼の作品は、小人や妖精など、伝承に基づいた描写が、多いのも一つの特徴のように思いました。
特に、しらゆきひめが登場する「ふゆのはなし」は、ちょっとマダムなしらゆきひめが、小人と一緒に遊ぶ姿の妙が面白い、独特な作品でした。

ふゆのはなし (世界傑作絵本シリーズ・スイスの絵本)ふゆのはなし (世界傑作絵本シリーズ・スイスの絵本)
(1971/03/30)
エルンスト・クライドルフ

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残念ながら、彼の物語は、本来の母国語に準拠して作られていたり、詩を多用しているものが多いようで、日本人の私たちにはちょっとなじみにくい部分がある気がしました。
そういう意味で、絶版になっている作品が多いのも、なんとなく納得という気がしました。

子どもが反応するとしたら、小学生4,5年からくらいからでしょうか。
むしろ、今となっては、大人がときめく要素が高い作品かもしれません。

個人的には文化村のHPでもつかわれていた自画像がツボでした。
展覧会紹介ページには、その肖像画を用いた動画がありました。
まだHP上には残っているようなので、まだご覧になっていない方は是非!

この展覧会、文化村ではすでに終わっていますが、現在、全国を巡回中のようです。
2012年8月4日(土)~2012年9月17日(月・祝) 郡山市立美術館
2012年11月10日(土)~12月27日(木) 富山県立近代美術館
2013年1月30日(水)~2013年2月24日(日) そごう美術館(横浜)
(この情報はインターネットミュージアムさんから引用させていただきました。)


バッタさんのきせつバッタさんのきせつ
(2012/05)
エルンスト クライドルフ

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くさはらのこびと (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)くさはらのこびと (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)
(1970/09/05)
エルンスト・クライドルフ

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八王子夢美術館で開催していたたむらしげるさんの個展に行ってきました。
八王子夢美術館に行くのは、今回が初めて!
遠いし、なかなか大変そうなので、行くかどうしようかかなり迷ったのですが、たむらさんのギャラリートークが開催されると知り、思い切って参加してみました。
はじめてお目にかかるたむらさんは、とてもダンディでやさしそうな方でした。
ギャラリートークの参加者の数が、本人が予想していたよりも、はるかに多かったようで、少々とまどっていらっしゃるようでしたが、どのような技法を用いて作品を作っていらっしゃるかを、実際の作品を前にして、淡々と語ってくださいました。
お話を聞くまでは、CGやマックを先駆的に使っていらっしゃる方、というくらいしか、たむらさんの技法に関するイメージはなかったのですが、予想以上に、さまざまな技法に挑戦していらっしゃいました。
CGだけでなく、初期にはリトグラフやプリントゴッコなども用いていらっしゃるし、CGと言っても、いちどCGで描いた作品を切り取って立体オブジェをつくり、それを撮影して平面にするなど、さまざまな形でCGを駆使して、作品を作り上げているそうです。
そんなお話をするたむらさんは、実験好きで好奇心旺盛な「ロボットのくにSOS 」に登場するルネ君やフープ博士のようでした。

ロボットのくにSOS (こどものとも傑作集)ロボットのくにSOS (こどものとも傑作集)
(1996/09/10)
たむら しげる

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とくに、絵本をきれいな色で印刷するためのこだわりには、脱帽してしまいました。
印刷と一言でいっても、本当に奥深い世界のようです。
絵本をつくるにあたり、ご自身で分版された色版と、原画、印刷物を、一緒に展示しているコーナーは、たむらさんのこだわりだけでなく、印刷のしくみなどもわかり、面白かったです。
ここでは、娘も大好きな「ありとすいか 」の原画を見ることができたのが嬉しかったです
ありとすいか (名作絵本復刊シリーズ)ありとすいか (名作絵本復刊シリーズ)
(2002/03)
たむら しげる

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会場内に展示されていた作品のうち、特に印象に残っているいるのが「メタフィジカルナイツ」という作品でした。
これはCGを市販のプリンターでモノクロ印刷した作品なのですが、黒の階調を細かく指定して印刷したところ、当時のプリンターの性能では階調を処理しきれなかったらしく、黒のグラデーションに虹のような七色の波形が出てしまったのだそうです。そのかすかな七色の幻想的で美しいことといったら!
たむらさんが作品にそえたコメントには、この色は『創造の女神からの贈り物』だと思った。と書いてありました。
今の性能のプリンターで印刷したら決して出ないその色は、まさに幻のように揺らめいていました。

また、昔大切に持っていたポストカードがプリントゴッコでつくられたものであったことが判明したりと、個人的にいろいろ懐かしい作品をみることができたのが、嬉しかったです。

最後に、ミュージアムショップで娘へのお土産に「ランスロットのはちみつケーキ (ロボットのランスロット)」を買って会場を後にしました。
この作品、娘に大好評でしばらく毎晩のように読んでいました。

ランスロットのはちみつケーキ (ロボットのランスロット)ランスロットのはちみつケーキ (ロボットのランスロット)
(2005/10)
たむら しげる

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たむらさんの作品は、娘と相性がいいようで、いままで買った作品のほとんどがヘビロテ本となっています。
秋には、こどものとも0123で、また新作が発表されるようなので、今から楽しみです^^
二ヶ月ちかくブログを放置していた訳ですが、アクセス数をみると、更新していた時とほとんど変わっていません。
展覧会の感想をとっぱらってしまったことも、全く影響ない模様(^^;

まあ、私の展覧会の感想は、会期が終わってからひっそり書くことが多いから、完全に旬を逃しているわけだし、それも当然なのかも。
いろいろ独りよがりな部分ばかりが際立つ内容であることを、今更ながら痛感して、ちょっと落ち込んでしまいました。

そうはいっても、これ以上のことができるとも思えないので、多分、今後もこんな感じの不定期更新が続くことになるかと思います。反省の色がなくてすみません(^^;

あと、一度は削除した展覧会の感想ですが、いままで書いていたものを削除したままにしておくことが、どうしてもできませんでした。
更に、今後も行った展覧会の感想を書いておきたいという欲求もあるので、自分の欲望に従い、別な場所で続けることにしました。
で、先ほど、心機一転、新天地で更新しようとしたら、メンテナンスサービスとやらで、ブログが更新できなくなっていました(爆)

そんなわけで、すっかり気がそがれてしまったので、次の更新がいつになるかは、さっぱりわかりません。
ただ今後も、ひっそり展覧会の感想メモの更新も続けていくことだけは、間違いないと思います。
もし、私の新しいブログを見かけることがございましたら、今度はここで始めたんだなーと、生暖かく見守っていただけると嬉しいです。

なにが言いたかったのか、わからない内容になってしまいましたが(^^;
とにかく、今後ともどうかよろしくお願いします。
お久しぶりです。
ブログの更新が止まって早2ヶ月が経過していたことに気が付き、愕然としています。
遅まきながら、行ったけど書いていない展覧会の感想を簡単に書いておきます。

まず、展覧会最終日(7月1日)に駆け込みで行った損保ジャパン東郷青児美術館で開催していた「アンリ・ル・シダネル」展
(9月2日までひろしま美術館に巡回しています)

展覧会ポスターに使用されていた夕闇のしじまにかすむ庭の風景を描いた、幻想的な絵に惹かれて、ずっと行きたいと思っていたものの、なかなか都合がつかず、ついに最終日になってしまいました。
もう行くのをあきらめようかとも思ったのですが、あきらめられず、行ってきました。
最初、娘と主人に留守番をお願いして、一人で行こうと思っていたのですが、娘が一緒に行きたいというので、急きょ、娘と二人でいくことになりました。

最終日とはいえ、あまりメジャーなアーティストではないせいか、会場は比較的空いており、子連れでもなんとか周りに迷惑をかけずに過ごすことができました。

ポスターやチラシのイメージそのままの、黄昏時の静謐な世界観の作品が多数並んだ会場は、幻想的な雰囲気に彩られていました。
シダネルという画家は、今回初めて知ったのですが、大雑把な言い方をすれば、印象派がテーマにとりいれた風景を、象徴派の技法で描いたような作品が多かったです。

庭先や、町並など、人がつねにいる人為的な空間を描きつつも、そこには、人の姿がほとんど描かれていません。
ただ、ついさっきまで人がいたであろうかすかな気配だけが、画面の中には残っています。
なんというか、シダネルって、描かれたものよりも、その場にのこるかすかな気配や空気を描くのに長けた画家だったような気がしました。
かすかな余韻を描くために、舞台装置として花や建物が置かれているようにも感じられました。

彼が特に好んで描いた夕闇がおりてくる時間帯は、日本風にいうなら逢魔が時です。
そのせいか、夕暮れを描く作品には、もしこの作品世界に吸い込まれてしまったら、二度と帰れない長い眠りに落ちそうな、不思議なけだるいオーラが漂っていました。

一人でじっくり作品と対峙しつつ、しばし彼の紡ぐ夢の世界に酔いしれたい気分にさせられる作品群でした。

ただ、非常に残念なことに、こーゆー静かな作品を、一緒に楽しんでくれる5歳児は存在しないわけでして。。。
今回は、娘の早く出ようよ、オーラに負けて、かなり駆け足で会場を見て回り、帰る羽目になりました。

この展覧会、娘はまったく心の琴線に触れなかったようで、会場をでた瞬間「難しかった」と言われてしまいました。
さらに、展覧会にいった翌朝「私、絵は見るより、描く方が楽しいと思う」ときっぱり宣言されてしまいました。
以来、私が展覧会に行こう、と言った時の反応の悪さと言ったら!(涙)
すっかり美術館が嫌いになってしまったようです。

この気持ちが一過性のものであることを祈るばかりです。
今回ばかりは、失敗したなぁ・・・・orz