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世界的なアニメーション作家・ユーリー・ノルシュテインさんの展覧会を見るために、数年ぶりに神奈川県立近代美術館・葉山館へ行ってきました。
この美術館は、逗子から更にバスを使って行かなくてはいけない、めちゃめちゃ交通の便の悪いところにあります。
行くのは大変なのですが、海に面したロケーションは最高だし、展示室も広さと言い、明るさといい、申し分なく、見る側にとっては理想的な環境が整っている美術館なので、私の大好きな場所の一つです。

そんなお気に入りの美術館で、尊敬するユーリー・ノルシュテインさんの原画が見られるとなれば、行かないわけはいきません。
しかも一日2回、作品の上映も行われる上に、上映リストには、彼の未完成作品として伝説化している『外套』まで含まれています。
上映会整理券をゲットするために、はりきって朝早くからでかけたのですが、会場は驚くほど空いていました。
作品上映時間になっても会場は定員に達しないどころか、土曜日にもかかわらずガラガラ状態。
なんだか肩すかしを食らわされた気分になってしまいました。
それでも、早めにいったおかげで、よい席でみることができたので、よかったです♪

展覧会は、展示してある資料と上映作品を見比べてこそ、楽しめる内容だったので、これから展覧会へいらっしゃる方は、ぜひ映像も一緒にご覧になることをオススメします。

上映作品の中で、印象に残っている作品をいくつか挙げると、まず、彼のデビュー作であり、ソビエト時代のプロパガンダ作品「25日・最初の日」が、当時の時代性を色濃く反映していて興味深かったです。

素直に楽しめた作品は、やはり童話を素材にした「狐と兎 」 と「霧につつまれたハリネズミ」でしょうか。
手作業でじっくり作られたアニメーションならではの独特な動きが、登場する動物の動きをより強調していたと思います。

未完の大作「外套」ですが、これは、はっきり言って微妙。
上映しているパーツをみるかぎり、完成することはないような気がしてしまいました(爆)
とにかく延々と主人公の老人が、服を脱いだり、食事をしたり、書類を書くという動作が続きます。
あきれるくらい丹念に動作の一つ一つにこだわって動かしていて、しかもその一つ一つに意味がこめられています。
ただ、その分、動きのテンポがゆっくりとしていて、映像世界の時間の流れは、通常の倍以上遅くなっているように感じました。
悪く言えば、制作側の思いが強すぎて袋小路にはまっている感じ。
30年ちかくかけてこの状態と言うことは、この作品は、完成しないことで伝説化する運命にある作品なのではないかと思いました。

で、肝心の展示の話。
まず、この展覧会で初めて知った最大の知識は、ユーリー・ノルシュテインの作品のキャラクター設定や作画は、奥様のフランチェスカ・ヤールブソワさんが行っていることでした。
ですから、展示作品の多くは、ヤールブソワさんの作品となっていました。

展示は基本的に、作成した作品ごとにコーナー分けして、展示していました。
どのコーナーも作品を作るにあたって描かれたコンテや原画、マケットという木枠で作られた箱型の中に、絵やガラスを何層も重ね合わせて奥行きと立体感を出しているジオラマ作品が展示してありました。

マケット作品特有の立体感は、写真や映像では、決して理解することが出来ないと思います。
この作品は、実際に見てこそ楽しめる作品だったと思います。

その他、映像作品が完成したあとに、描いたという『エスキース』という名前の作品群も多数展示してありました。

また、絵本化されている「きつねとうさぎ」や「きりのなかのはりねずみ」のコーナーには、絵本の原画も展示してありました。
でもアニメと絵本は別作品と思った方がいいかも。
会場で、映像作品と絵本を見比べてみて、二つの作品が似て非なるものであることがよくわかりました。

彼らにとっては、映像作品が完成形というわけではないのかもしれません。
映像作品をベースに、作品を様々な媒体で再表現することによって、別な高みへと作品を昇華させてゆくという作業を、二人で今も続けているのかなぁという印象をうけました。

この展覧会の目玉作品は、マケットだと思うのですが、コンテ群も量で勝負している感じで見応えがありました。
コンテ類の展示方法はちょっと独特で、額装した作品が掛けられている壁の下に、アクリル製のぞき台をグルっとしつらえて、そこにさまざまなサイズの紙に描かれたコンテ類を展示していました。
この展示方法はとてもすっきりしているにもかかわらず、情報量が豊富で好感が持てました。

とにかくこの展覧会は、発見も多く、しかも展覧会会場で見ることに意味がある作品も多数展示してあり、とても楽しかったです。
内容量の豊富さと言う意味では、私が最近見た展覧会の中では一押しです。
少しでも興味のある方はぜひ、足を運んでいただきたい展覧会でした。

*参考までに、展示に関連する出版物をご紹介します。こちらも必見です。

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