うらわ美術館で、夏から秋にかけて開催していた「荒井良二 スキマの国の美術館」展
レビューを途中までかいて、そのまま放置していました(汗
今更なのですが、書き足した上でUPします。

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荒井良二さんの展覧会をみるために、久しぶりにうらわ美術館へ行ってきました。
90年代以降、とみに人気が高まっている荒井良二さん。
明るい色調の作品の原画は、さぞ鮮やかで美しいだろうと、常々思っていたので、ぜひ本物を見たい!と思い展覧会に行ってみました。

実際に作品を目の当りにしてみると、荒井さんの作品は、思っていた以上にクールでした。
ちょっと変な言い方ですが、長新太さんの系譜に連なる世界を、よりスタイリッシュにまとめあげているっていう感じ。
冷静な無邪気さとでもいうのでしょうか。
計算しつくされた範囲で遊んでいるという印象を受ける作品が多かったです。
荒井良二個人としての世界観を盛り込みつつ、どんなニーズにも応えられるそつのなさを兼ね備えている人なんじゃないかという気がしました。

あと、意外と大人を対象とした絵本を書ける人だったんですね。
大人が読んでも癒されるツボを、さりげなく盛り込んでいる作品が多かったことに驚きました。
とても現代的な感性を持っている人なんだろうと思います。
そういう意味で、2000年代を代表する絵本作家になのは間違いないように思いました。
 
今回の展覧会に登場した作品のなかで、一番迫力を感じたのは「オッペルと象」。

オツベルと象 (ミキハウスの絵本)オツベルと象 (ミキハウスの絵本)
(2007/10)
宮沢 賢治

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様々な角度から描かれる白象の姿と、虐げられた白象を救い出そうとする象の群れの怒りを表現した赤のコントラストに圧倒されました。
荒井さんの別な一面をみせてもらった気がします。

「たいようオルガン」の描写の繊細さ、緻密さも魅力的でした。
細部まで食い入るように見たくなる、描写の細かさと色彩の楽しげな様子は、荒井良二さんにしか出せない世界だと思います。

たいようオルガンたいようオルガン
(2008/09)
荒井 良二

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作品として単純に楽しかったのは「さるのおいしゃさんとへびのかんごふさん」

へびのせんせいとさるのかんごふさんへびのせんせいとさるのかんごふさん
(2002/06)
穂高 順也

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この本は娘のお土産に買って帰ったのですが、予想どおり大うけでした。

後日談になりますが、この絵本は、娘がはじめて最初から最後まで自分ひとりで読み切った最初の絵本となりました。
4歳の誕生日直後だっただけに、子供の成長を感じたひと時でした。
読み終えた時の達成感に満ちた娘の顔が、今でも忘れられません^^

また、ラッキーな事に、私が会場についた時に、ちょうど荒井さんのサイン会が開催されていました。会場はかなり混んでいたものの、まだあと数枚、整理券が残っているということだったので、参加して、展覧会カタログにサインをいただくことができました。

更に、ラッキーなことは続き、サイン会参加後、展示を見ていたところ、今度は、展覧会会場で、荒井さんが取材に応じている現場に遭遇してしまったのです!!

会場の隅っこで、展示してある作品を前に荒井さんが作品を語っている姿を、ちら見しつつ、耳をダンボにして、荒井さんの話を聞いてしまいましたw

そのなかで印象に残った荒井さんの言葉をちょっとだけメモ。

(注)これ以下は、私の記憶を元にした覚書にすぎません。荒井さんの意図を完全に反映しているものではないことを、お含みおきの上、ご覧ください。

---(ライブペインティング絵本「うちゅうたまご」の原画を前にして)ライブ感覚が好き。TV出演も生放送の方が、時間内に終わるし楽しい。

---作品は一気に仕上げる。編集者にみせるためのデモが下絵といえるかもしれないが、基本的に下絵も本画も区別なく一気に仕上げる。下絵の方が集中してよい作品になってしまうこともある。


---作品は60%の力で仕上げている。100%の力で描くと、強弱が強すぎて絵本としてのまとまりがなくなってしまう。
絵本全体の流れを出すためには6割程度で我慢しなくてはならない。残ったパワーは余白に書き込みをすることで解消している。


実は、荒井さんの作品の大半は、トリミングしてあって、余白には更なる世界が続いているそうです。インタビュアーの人との受け答えを聞く限り、どの作品もかなり大胆なトリミングをされているようです。
展示してある作品もマットの下には、さらなる描き込みがされているとのこと。
その部分を見てみたーい!思わずにはいられませんでした。

---絵本は、絵であると同時に原稿でもある。全編を通してトータルで100になればいい。
そういう意味では、60%の力で描いた作品を、額装し、タブローのように展示するのは、ちょっと抵抗がある。

これには、なるほど!と思ってしまいました。
実は、絵本原画の展覧会に行くと、原画の美しさに触れられるのは嬉しいんだけど、一枚の絵としてみると、どうしても、物足りないなあと思う作品が多いと、常々思っていたのです。
荒井さんの言葉を聞いて、これまで漠然と感じていた不満の理由の一端がわかった気がしました。

“本”って、つくづく展示するのが難しい素材なんだということを、思い知らされた気分です。
少なくとも、今回のようにアーティスト個人の作品を紹介することをメインテーマとする展覧会は、タブローとして、作品を見せるだけでなく、作家がどんな形で見せようとした作品なのかというトータルイメージを、きちんと伝えられる展示を作らなくてはいけないということなのでしょう。

絵本の原画は見たいけれど、それに適した展示方法って、一体どんな形なんだろう。
展覧会の有り様の根本的な部分をいろいろ考えさせられる一言でした。

展覧会自体もとても見応えがあったのですが、荒井さん本人の存在感が、強烈に印象に残った展覧会でした。

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