堀内誠一 旅と絵本とデザインと (コロナ・ブックス)堀内誠一 旅と絵本とデザインと (コロナ・ブックス)
(2009/06)
コロナブックス編集部

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(2000/10)
ルーマー ゴッデン

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世田谷文学館で9月6日まで開催していた「堀内誠一 旅と絵本とデザインと」展。
こちらもおくればせながら、簡単な感想を。

この展覧会は、堀内誠一さんの生涯を通史的に紹介しており、一通りみると、堀内さんの仕事が一望できる構成になっていました。

私のなかでは、絵本作家のイメージが強い堀内さんですが、14歳からデザイナーとして仕事をはじめ、アンアンのロゴデザイン等、グラフィックデザイナーとしても、超人的な業績を残した方。
日本のグラフィックデザイン史上、不滅の偉大な天才です。

お恥ずかしい話ですが、つい最近まで堀内さんに対する私のイメージは、子どもの頃に慣れ親しんでいた絵本作家でしかありませんでした。
ところが、2007年4月に埼玉県立近代美術館で行われた「澁澤龍彦ー幻想美術館ー」の会場に展示されていた、澁澤龍彦宛の堀内さん直筆の絵手紙を見、さらに澁澤が編集した雑誌『血と薔薇』の装丁をしていると知り、私が思っていた以上に、幅広い活動をしていらっしゃる人らしいと知りました。
それをきっかけに、堀内さんの幅広い活動に関心を持ち始め、少しずつ、いろいろ関連書を読み始めていた所で、開催されたこの展覧会。
私にとっては、まさに渡りに船。ジャストタイミングの展覧会でした(笑)

堀内さんの生涯は、「父の時代・私の時代 わがエディトリアルデザイン史」に詳しいのですが、この展覧会は、この本に沿った形で展示を構成していたようです。
特に、堀内さんの業績を「デザイン」「絵本」「旅」という3つに分けて展示していたのは、シンプルだけど、わかりやすい視座で、好感が持てました。

この展覧会、見る人によって、かなり感想が異なる展覧会なんじゃないかと思います。
私のように堀内さんの絵本のイメージが強い方にとっては、アンアンやポパイのロゴデザインなど、今でも目にするものが堀内さんの作品であったことは驚きだったと思うし、一方、グラフィックデザイナーとしての堀内さんに関心を持っている人にとっては、絵本作家としての彼の姿を目の当たりにするよい機会となったのではないでしょうか?

ただ、どんな感想を持つにせよ、共通して言えるのは、良い意味での驚きと発見がある、ということに尽きるのではないかと思います。

もちろんこれは、堀内さんの業績の幅広さがなせる技なのですが、どの業績に偏ることなく、堀内さんの足跡を、丹念に追った展示だったからこそ、それが、わかりやすく私たちに伝わったのではないかと思います。

資料の魅力を最大限にいかした、誠実な作りの展覧会でした。

最後に私が印象に残った資料をいくつか列挙しておきたいと思います。
ます、まだ若い頃に描いた油彩画。
ピカソ風だったり、モジリアニ風だったり、好きな絵の影響が率直に現れた絵でした。
堀内さんは、大変器用な方だったようで、それが露骨なまでに素直に出ていたのが、興味深かったです。

次にあげたいのは、「マザーグーズのうた」の挿絵。
この本、私は子どもの頃、何度も何度も読んでいたんです。
この原画を見たくて、この展覧会に足を運んだと行っても良い位、見たかった作品なので、実際に目にしたときには、感慨深くてジーンとしてしまいました(照)
展示替えがあったようで見ることが出来なかった作品もあったのが、ちょっと心残り。
本の見返しに使っていた挿絵が、見ていて一番たのしかったです。

最後に、これは堀内さんの作品ではないのですが、堀内さんの遺品を展示していたコーナーに展示してあった小さな木の人形。
この人形、堀内さんが挿絵を描いた「人形の家」という本の主人公のオランダ人形とそっくりだったんです。
挿絵の参考資料として持っていたのかもしれません。
「人形の家」も、私は子どもの頃読んだ本のなかで、とても印象に残っている作品で、主人公の人形トチーのような木の人形を見てみたいなぁとずっと思っていました。
それが、こんな形で実現して、本当に嬉しかったです。

「人形の家」は、大好きな本だったのですが、堀内さんが挿絵を描いているのに気がついたのは、大人になってからでした。
本当に、子どもの頃、何の気なしに手に取った本のなかに、堀内さんの作品のなんと多かったことか!

改めて思うのですが、私の幼少期に堀内さんが与えた影響は本当に大きかったのだと思います。
実は、はじめてシャガールの絵を見たとき、思い出したのは、堀内さんの鮮やかで大胆な筆致でした。
子どもだったこともあり、この人(シャガール)の絵って、マザーグーズのうたの絵を真似しているみたい。。。と思ったのを、懐かしく思い出します。

堀内さんは、器用にそつなくなんでもこなせる人だけに、商業ベースでの仕事も多かったように思います。
それだけに、彼の本当に描きたかった事・アーティストとして表現したかった物というのがどこにあったのか、この展覧会をみていて、わからなくなりそうになったのも事実です。

ただ、グラフィックデザイナーとして、成功をおさめた堀内さんが、あえて絵本の世界に舵を切ったのは、彼のアーティストとしての本質が、絵本の中にあったからなのではないでしょうか。
あえて、絵本という媒体を選んだというところに、彼の強い意志が、働いているのであれば、きっとこの中に、彼の思いも込められているに違いないと思います。

作品ごとに、技法を試行錯誤しつつ、どんどん大胆に、つよい色と筆致を帯びていった堀内さん。
その見事な筆裁きは、どんな高みをめざしていたのかなぁ。。。とその早すぎる死を惜しみつつ、会場を後にしました。

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