上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ここ数ヶ月、まったくブログを更新していなかったので、行ったけど感想を書くことができていない展覧会が、いっぱい残っています。
今更なので、あまりに時間が経ってしまった展覧会については、何処に行ったのかだけ、メモして終了しようとおもったのですが、今回取り上げた養老天命反転地は、会期がある展示ではないので、一応、感想を書いておきたいと思います。

昨年秋に、岐阜県にある養老天命反転地に行ってきました。

養老天命反転地は、現代美術家荒川修作と、パートナーで詩人のマドリン・ギンズのプロジェクトを実現したテーマパークです。
1995年につくられた日本における体感型アートの先がけのような施設。
一度行ってみたいと思っていたのですが、ようやく念願がかないました!

今回は、娘と私の母、プラス親戚一家で遊びにいったのですが、急斜面を子どもを追いかけて走るのは、なかなかスリリングな体験でした(笑)
残念ながら同行者に年配者も数人いたため、すべての施設を回ることはできなかったのですが、迷路や斜面が乱立するなんとも不思議な空間を歩き回るだけで、子ども心が甦り、どんどん元気になってゆくから不思議です。
いや、ほんと、面白い経験でした。
特に、子ども達が、理屈抜きで、探検している姿を見て、この子たちが一番作品を楽しんでるじゃないかと思わずにはいられませんでした。

ただ、思っていた以上に、施設のあちこちに劣化がみられ、全体的にかなり古びた印象も受けました。
作品に用いられた素材自体の経年劣化をどこまで考慮して作られたのかわかりませんが、恒久的なアート施設のメンテナンスの苦労がしのばれる施設でした。

物理的な経年劣化も問題なのですが、それ以上に表現方法の経年劣化についても、考えさせられました。
特に、『極限で似るものの家』という迷路型の建物内には、あちこちにソファや冷蔵庫などの家具が配置してあるのですが、その用いられかたは、今の目線でみると、かなり古くさい表現と化していました。
へんな言い方ですが、現代アートに用いられるモチーフの消費速度の速さを目の当たりにした気がします。

また、この施設は、養老公園という公営公園の一角にあるのですが、ベネッセの運営するアートサイト直島などに比べると、公園に入るまでの施設のチープさや、ボランティアスタッフの作品の理解度が、高いようには見受けられず、全体的に「なんだかよくわかんない施設だけど、まあ一度見てみてよ。」という感じのオーラが漂っていました。
これは、テーマパークの導入としては、あまりにお粗末でもったいないなぁと思わずにはいられませんでした。

別に、来た人を荒川修作の思想に啓蒙しようと力む必要はないと思うんですけど、ここは異世界を楽しむための場所です。
この不思議な空間を楽しんでください!という舞台演出をもう少し頑張った方が、ずっと作品が生き生きと輝くと思うんですよねぇ。

劇場でも、ディズニーランドでもそうですが、やはり物語は、導入からワクワク感が漂っていた方が楽しいと思うんです。
スタッフの人が、よくわかんないんだけど、まあ一度見てみてよ的なオーラを出しているのは、作品世界への楽しみをそぐ遠因となることがよくわかりました。

直島をつくったベネッセの福武氏は、現代アートは、新興宗教に近い存在であるとおっしゃっていましたが、まさにそのとおりで、少なくとも現場のスタッフはその作品の絶対的な力を信じ、それを盛りたてようというオーラを発していないと、作品の価値は高まらない気がしました。

残念ながら、こういう手法は、中立性が求められる公立の施設では、行いにくい演出だということも、わかるんですけど・・・
考えてみたら、公立の美術館などに置いてある現代アート作品の中にも、こういう所在なさ気な雰囲気を醸し出している作品ってありますよね。
この辺りの、根本的な原因に、公共施設が思想や思索を説くことができない、という事があるのかな、などと、つい、考えてしました。

・・・とまぁ、周縁部にいろいろ問題があるものの、体感型アート作品としては、きわめて完成度が高い施設であることは間違いないと思います。
理屈ではなく、体を駆使して、アート作品に触れるというのは、得難い経験です。
こういう経験を、子どもの間にしておくと、アート作品への敷居が低くなり、理屈ではなく、素直に作品を楽しむことができるようになるんじゃないかと思います。

最近はやりのインタラクティブアート作品以上に、この施設は、子どもが、無条件で面白さを感じられる作品だと思います。
とにかく、鑑賞教育にはうってつけの場所だと思うので、お子さんがいられるご家庭は、ぜひ一度、足を運んでみることをオススメします。


養老天命反転地―荒川修作+マドリン・ギンズ 建築的実験養老天命反転地―荒川修作+マドリン・ギンズ 建築的実験
(1995/11)
毎日新聞社

商品詳細を見る



スポンサーサイト
  
コメント
コメントする












 管理者にだけ表示を許可する?

トラックバック
トラックバックURL
→http://korobomemo.blog110.fc2.com/tb.php/214-76cf599c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


     
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。