アーツ千代田3331で開催していた子ども向け(と思われる)展覧会「藤浩志の美術展 セントラルかえるステーション ~なぜこんなにおもちゃが集まるのか?~」に、親子3人で行ってきました。

ホームページからの引用によると『藤浩志さんは、約30年以上に渡り、流行りの思想や手法に流されることなく、社会・地域・日常を見つめ続け、「循環社会への転換」「地域社会の変革」といった大きな命題に対して取り組んできました。なかでも、おもちゃを交換するシステム「かえっこ」は2000年に発案されて以来、国内外1,000カ所・5,000回以上にわたって開催され、それぞれの地域が抱える問題に対応し、市民や住民が主導となるコミュニティ・プロジェクトへと発展しています。
本展は「かえる(変える/還る/換える/買える)」をキーワードに、13年続く「かえっこ」により集まった約5万ものおもちゃを素材とし、インスタレーションやワークショップを行います。そのほか、プラスチックや針金など、これまで藤氏が生活や活動のなかで収集した膨大な数の素材や、それらをつなぎ合わせた作品、各地で連鎖・発生してきた地域活動の紹介、入札形式による作品販売(サイレント・オークション)を行うなど充実の内容です。』


・・・だそうです。

今回は、以前娘と一緒に参加して、娘に大好評だったワークショップを開催していたリサイクル業者のナカダイさんが、協力して開催しているようなので、子どもと一緒にいろいろ楽しめるかな、と思って参加したのですが・・・正直微妙な内容でした。

期待ほど面白くなかった、というのが率直な感想です。

大量のおもちゃをパーツに組み上げられたオブジェ作品は、よくも悪くもWEBで見た際に予想していたとおりのもので、それ以上でも以下でもありませんでした。

この素材を使ってオブジェをつくるならこういうテーマで作るとわかりやすいよね。会場大きさと作品自体の強度を考えたらこの大きさになるよね。って感じがして、意外性や、ライブで見るからこその迫力が、私には感じられませんでした。・・・まあ、この辺は、ただ単に私の好みではなかったという要素が強いのだとも思うのですが。

会場内には、大量のおもちゃと、ワークショップ要員と思われるスタッフの方の姿がありました。
これだけの人を動かす組織力は素晴らしいと思ったものの、いろいろ盛り込みすぎている分、矛盾がみえてしまったように思います。

まず、根本的なことですが、会場を埋め尽くしている大量のおもちゃは、消費社会を象徴するかのような廃材というイメージを喚起する配置をしているにも関わらず、「かえる(変える/還る/換える/買える)」というテーマに沿って、子どもにリサイクルシステムや、流通システムを学ぶためのツールとして活用しようとしている事に、無理がある気がしました。

あくまでも私の印象で、ものすごく大雑把な言い方をさせていただきますが、大人には大量消費の矛盾をみせつけ、子どもは廃材(にもみえるおもちゃ)を使ってリサイクルを経験させましょうって、言っているような感じがしました。
大人に対するメッセージと、子どもに発信しているメッセージに差がありすぎて、私は、このダブルスタンダードが妙に引っかかりました。

もし、本気で、子どもに古いものを大切にするリサイクルの循環機能を学ばせるのならば、おもちゃが廃品のように見える展示は、その素材として適していない気がします。
おもちゃがいっぱいあれば、子どもが大喜びで参加するだろうという発送は、安易すぎるのではないでしょうか。

確かに娘は、たくさんのおもちゃに喜んでいましたが、おもちゃ屋さんや児童館などにあるおもちゃを見た時のような、無邪気な喰いつきを見せてることはありませんでした。

娘は、最初、まわりの様子を伺いつつ、会場においてあるおもちゃを観察し、触って遊んでいいのか判断しているようでした。
もちろん、これで遊んで大丈夫!とわかってからは、喜んで遊んでいました。
この見た瞬間無邪気に駆け寄ることができないという娘の反応は、子供に課した問題提起が作用したと解釈するべきなのかもしれませんが、私は、むしろこの部分に、この展示が孕む問題点が現れていたように感じました。

他のお子さんがどのようにこの展示を楽しんでいたのかはわかりませんが、自分の娘について言えば、一つ一つのおもちゃの個性を楽しむのではなく、大量にあるが故に、粗雑な扱いをしている感じがしました。
結局、娘が、一番大喜びしていたのは、ぬいぐるみから取り出したと思われる大量の中綿を積み上げたコーナーで、わたを放り投げて遊んでいた時でした。
スタッフの方もそんな娘を見て「このコーナーは、お子さんに大人気なんですよ^^」とおっしゃっていました。
これだけ大量のおもちゃがあっても、綿で遊ぶ方が楽しい!という反応。
これって結構この展示を象徴している現象のような気がするのですが・・・。

また、多数開催しているという触れ込みのワークショップも、時間の告知などがわかりにくく、残念ながら、私たちは参加することができませんでした。
参加していないのに、こんなことを言うのはおこがましいのですが、ワークショップのあり方についても、少々疑問を感じました。
と、いうのも、WEBをみると今回開催された様々なワークショップは公募形式で企画されたようです。
アーツ千代田3331という会場は、アート系の人材育成の場という性質もある場所のようなので、このような公募形式でのワークショップが行われているのだと思うのですが、新人アーティストの人材育成を兼ねたワークショップを、わずか2カ月という準備期間で、展示内容とすり合わせて開催するという早業にも驚きました。

消費社会へのアンチテーゼとリサイクルの必要性を発信しつつ、アーティストの育成の場を提供し、なおかつ子どもが楽しめる展覧会にする。・・・これを一つの企画のなかで行おうとする藤さんという方は、おそらくものすごくエネルギッシュな方なんだと思います。
その心意気は素晴らしいと思うものの、この展覧会、大変失礼ながら、いろいろ詰め込み過ぎて、結局、子どもの存在が、一番後回しになってしまったのではないか、という印象を受けました。
そしてそのことを端的に象徴しているのが、子どもに触らせたくないなぁと思うほど汚れたおもちゃを含むおもちゃ群だった気がします。

最初に書いたように、今回、私がこの展示に行こうと思ったのは、ナカダイさんが協力していらっしゃると知ったからです。
以前、ナカダイさんが開催した子供向けのワークショップは、廃材を利用して自由に工作をしてみようという内容でした。(その時の感想はこちら

ナカダイさんのワークショップに参加した際、私がもっとも感動したのは、一度は廃材となった物に、新たな付加価値をつけ、別の素材として提供しようとするナカダイさんのモノへのこだわりでした。
実際、そこで見せていただいた素材はどれもびっくりするほど、造形的におもしろく、モノの美しさを再認識させてくれるものでした。
このワークショップは、本当に楽しくて、娘はいまだに、また『パソコンを壊して作る会』に行きたいと言っています。
良質な素材を使って、自由に遊ばせて下さったからこそ、娘はその楽しさを実感できたのだと思います。

それに比べると、今回の会場につみあげられたおもちゃは、本来おもちゃが持っていたであろう造形美すら否定しているようで、物悲しい感じがしました。
このおもちゃを見て、娘がなにを感じたかはわかりません。
ただ少なくとも、モノの造形美を感じたり、モノを大切にしたいという思いを育める要素は低かったように思います。
その点において、非常にガッカリせざるを得ませんでした。

また、モノの交換システムや、お手伝いやワークショップに参加することで、対価を得るという教育システムならば、規模が違いすぎるかもしれませんが、キッザニアというそれに特化したシステム等もあります。

親の立場からすれば、このいろいろ詰め込み過ぎて焦点がぼやけた展示よりも、一つのテーマに絞り込んだシンプルなシステムを提供してくれる場所で、子どもに経験を積んてもらう方が、子どもが得るものは大きいのではないかという気がしました。

それゆえ、今回の展示を見る限り、私は藤さんの提唱する「かえっこ」というシステムに、魅力を感じることができませんでした。
ただ、まったく魅力がないものであれば、13年にもわたり活動が続くとは思えないので、今回は展示という媒体に、このシステムの趣旨がうまくはまらなかっただけなのかなぁという気もしています。
それを確認するためにも、今後の藤さんの活動に参加する機会があれば、ぜひ参加したいと思っています。

なんだか非常に感じの悪い批判文を書き連ねてしまい、本当にすみません。
それでもあえて、母親目線でみた率直な感想を書かせていただきました。
不快に思う方もいらっしゃるかと思いますが、こういう風に感じた人間もいた、程度に考えてご容赦いただけたら嬉しいです。


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